「こころとからだの心理学」シリーズ7
vol.6 「有機的なからだとは」の続きで、最終回です。
最初から読みたい場合は、こちらからご購読ください→ vol.1 心理学の新しい分野
こころとからだの心理学 vol.7
傷や悩みが癒えることについて
心理療法家としてカウンセリングを続けている中、最も関心があるのは(多くの同業者がそうであるように)「傷や悩みが癒えていくこと、なおっていくこと」です。そしてそれは、パラドクス(逆説的)で、癒すことや治そうとコントロールすることや急ぐことで逆の作用が働くことも経験的に知っています。
ゆっくりと行きつ戻りつ、からだに寄り添って免疫力を高めていくこと、からだの傷みを受け入れて成熟を重ねることで、傷や悩みは縁になって次のところに連れていってくれます。それはまるで旅のようです。
人が生きる道は、旅のようだとも考えます。険しい道や脱線がありつつも、二つに分かれた道はないということ。あっちの道に行っておけばよかったとか、こっちの道が正しかったんだという歩き方ではなく、歩くことそのものが何かに支えられていると感じられたら、私たちの旅は奇跡だらけです。
それでは7回に分けて書きました「こころとからだの心理学 」でしたが、もしかしたら心理学を理解したいと期待して読み進めてくださった方の中には、思っていたことと違うところに終着したと感じるかもしれません。
私たちの思考は、手ごたえや明確な答えをほしがります。本来の思考は、とてもクリアに私たちを創造性へと繋げてくれる一方で、求め続けることやドラマティックに使うと籠の中のモルモットになってしまいます。
思考を素晴らしい相棒にしつつ、頭から降りて胸のところで皆さんと出会いたい。そんな思いで、何だかすっきりしないところで終わりにするこのコラムを、このホームページの序章として付け加えることにしました。
にっこりと胸にある想いを空に放り投げて、また次の旅へと行ってきます!
では、またどこかで!!
7回にわたる「こころとからだの心理学」シリーズを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
vol.1 心理学の新しい分野
vol.2 カウンセリング現場の実際
vol.3 第四世代のマインドフルネス
vol.4 こころの周辺にある「からだ性」と「瞑想や宗教性」
vol.5 日本人の特性とこれから
vol.6 有機的なからだとは
vol.7 傷や悩みが癒えることについて