こころとからだの心理学  vol.6 有機的なからだとは

「こころとからだの心理学」シリーズ7
vol.5 「日本人の特性とこれから」の続きです。

こころとからだの心理学 vol.6

有機的なからだとは

私たちが「からだ」と呼ぶとき、それは何を指すでしょうか。物質的な体=「肉体」でしょうか。目に見える肉体は、英語にすると、bodyにあたるものです。それは加齢とともに衰えゆくもので、傷や病は取り除いていくものと考えられます。筋トレをイメージしてください。鍛えているのは目に見える筋肉の盛り上がりや細いウエスト、若さ、両足を広げられる柔軟性など、私たちがテレビや広告などで「良い」とよいとされているものです。

それとは対になるものとして、物質的な肉体ではない「からだ」を、敢えてひらがな表記にして書くことがあります。からだは、「目に見える肉体ではない、感じているからだ」「経験とともに充実していくからだ」です。英語でいうと、bodyと対をなす表現として「somatic(ソマティック)」を用い、より生きているからだ、有機的なからだを指しています。

つまり、病や傷も、負ったからダメになる古くなるのではなく、熟成して別のものに変化する可能性が秘められていると考えます。絶妙な味になり、第3のものに変化する発酵食品のようなものですね。

私たちみんなが有機的なからだを持って生まれているのであれば、それを大切にして熟成を重ねることは、楽しみに思えてきます。我が家にある3月に仕込んだ大豆も、そろそろ冬に向けて味噌の味が深まってきたころです。

いかがでしょう。無機質に思える都会生活でも、日々追われる義務も、今、目に映っている肉体に奥行きを感じるまなざしを向けたら、同じものが違って見えてくるかもしれません。

次回が最終。vol.7 「傷や悩みが癒えることについて」に続きます。

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